マッコウクジラたちの寝姿&捕食する瞬間を激撮!!
世界最大の哺乳類とされる鯨ですが、私達はどれくらい知っているでしょうか?
今回取り上げたマッコウクジラは世界のほとんどの海域で暮らしており、比較的個体数も多い種類です。
若いオスのみで構成された群れや、メスとその子供達で構成された群れもあり、明確な社会性を持った生き物であると言えます。
さて、そのマッコウクジラには他の種類の鯨にはほとんど見られない変わった行動をする事があります。
理由を突き詰めていけば納得できる行動なのですが、それを知らないと「何故そんな事をするの?」と不思議に思うかもしれません。
今回の記事では、マッコウクジラの生態の中で特に不思議な、
- 何故深海へ潜るのか?
- マッコウクジラからは〇〇が採れる?
という事を纏めました。
何故深海へ潜るの?
2000mの深海まで潜る理由は、主に食料となる大型のイカを捕食する為です。
深海に暮らす大型のイカといえば、「ダイオウイカ」が有名ですよね。
マッコウクジラは深海へ到達すると、そこで暮らす大型のイカを好んで食べます。
体が大きく食べるのもかなりの量で、主食ではないものの、イカが見付からない場合はタコやサメまで食べてしまうんですよね。
ダイオウイカは日本近海の深海にも生息していると言われ、実際に小型の3m程の個体が浜辺に流れ着いた事もあります。
この事はニュースにもなっていました。
世界最大級の無脊椎動物且つ頭足類とされており、大きいと18mを超える個体が見付かった記録もあります。
主にイカやタコ、オウムガイ等がそう呼ばれ、頭部にある口の周辺に複数の腕が並んでいるのが特徴です。
体を守る殻が進化の途中でいつの間にか失われている種類もいて、オウムガイが殻を持っているのに対しタコは外殻を持たない等、同じ頭足類の中でも備わった機能が異なる場合があります。
吸盤の後が痛々しいですね…。
大きな体を持つマッコウクジラでもダイオウイカの必死の抵抗に傷付いたり、捕食するつもりが逆に負けてしまう事もあります。
何処まで潜れるの?
マッコウクジラは生涯の3分の2を深海で暮らすという事が分かっています。
その深度は2000mを超えるとも言われており、体の機能も深海へ潜る為に進化しました。
3000mを超えたという記録も残っているようなのですが、そこまで深いとエサになるイカは生息していないそうです。
なので流石に3000mは超えていないのでは?と思ったのですが、そういった話も出てくる程に、マッコウクジラの体が潜水に適しているようですね。
他にも、
- 深海ではイルカのようにエコーロケーションを使う事で仲間と会話する。
- 筋肉の中に大量の酸素を蓄える事ができる。
- これによって1時間以上、呼吸をせずに潜り続けられる。
このように、他の鯨にはまず見られない能力があります。
まだ子供のマッコウクジラは仲間が深海へ潜っている間は水面近くに留まり、戻ってきた母親に母乳を貰ったり、大人が深海から咥えて持ってきた獲物を食べます。
どうやって深海まで潜っている?
マッコウクジラは頭の大きな種類です。
骨格から見ても、頭の部分にはかなりのスペースがありますよね。
この頭の中には「脳油(のうゆ)」もしくは「鯨蝋(げいろう)」と呼ばれる液体が詰まっていて、温度によって質が変化します。
通常は液体なのですが体温が約25℃くらいになると凝固して重くなり、マッコウクジラ達はそれを利用して深海まで潜る事が可能です。
浮上する時は逆に暖める事で比重を小さくし、浮きやすいようにします。
マッコウクジラからは香水が採れる?
マッコウクジラは漢字では「抹香鯨」と書きます。
粉末にされたお香の事です。
昔は沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)等が使われましたが、今の時代では樒(しきみ)の樹皮や葉を乾燥させた物が用いられます。
香りが想像できない人は、お焼香の香りを思い浮かべると分かりやすいかもしれません。
古い記録ではアラビアの商人が、マッコウクジラから採れた蝋のような物を香料・薬・媚薬として扱っていたのが最初だと言われています。
かなり高級な物として取り扱われ、そうと知らずに手に入れた人は大金持ちになれたのだとか。
その香料は自然物にはない色や形から、中国では伝説上の生き物である龍のよだれが固まったとされて「龍涎香」と呼ばれて重宝されました。
日本には室町時代の頃に伝来したのではないかと言われています。
龍涎香とは?
読み方は「りゅうぜんこう」。
別名アンバーグリスとも言い、マッコウクジラの腸の中に発生する香料をそう呼びます。
何故腸内で作られるのかは分かっておらず、この塊は排せつされる形で体外へ出てきます。
捕鯨が頻繁に行われていた時は解体時に入手できましたが、今では主に海面を漂っている物か浜辺に打ち上げられている物をたまたま見付ける事でしか手に入りません。
質が良いと数千万~数億円の高値で取引されます。
まとめ
マッコウクジラは材料欲しさに乱獲された時代もあり、アメリカ、オーストラリア、ノルウェー等が行った行為で、19世紀から20世紀にかけて絶滅寸前になるまで数を減らした事もあったそうです。
今では世界中が捕鯨に反対している空気もありますよね。
なんだか「今更?」って感じもしますが。
昔から日本では鯨の恩恵を受ける事が多く、大飢饉で死に瀕していた村の近くに大きな鯨が打ち上げられ、そのおかげで餓死せずに生き延びられたという話がいくつもあります。
その時の鯨には感謝の気持ちを込めて「鱗王院殿法界全果大居士」と戒名が贈られました。
他にも無事に漁から戻れるように鯨塚が作られた地方も多く、日本と鯨には昔から深い関りがあったのだと改めて思いました。
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